どらくえ

小さい頃、親にゲームのソフトを買ってもらうことは稀だった。我が家はご褒美制なる制度が布かれ何か頑張ったこと(例えば書道コンクールで賞を獲るなど)がないと欲しい物が手に入らなかった。おもちゃの値段と自分の努力が見合うのかよく悩んでいたと思う。しかし、ドラゴンクエストⅢは違った。辞書にまで載ったそのソフトは父がやりたいからという理由だけで無償で手に入った。いや、買ってもらった。
極度の怖がりなためHPやMPの枠が青や茶色になるたびにびびっていた。それでも少しずつ進みだし、軌道に乗り始めた矢先だった(といってもダーマの神殿くらいだったと思う)。当時ようやく歩き出した妹がコントローラーと画面の間を歩いたとき、足踏みしていたはずのパーティーは沈黙していた。
あの時から10年以上たち、初めからドラクエ3をする機会を得た。まだ枠の色が変わるとビクビクしながらもエンディングを見ることができた。課題から逃げながら溜めた経験値は無駄じゃなかった。そう思いたい。そんな6月。暑い。

容疑者

夜な夜な自転車を漕いでいたら私服警官?に声をかけられた。警棒とモルダーがもっていそうな棒ライトを持っていた。ドラマの様に、警察!という感じではない。30代前半髪の毛が疲れ気味と40代前半優しいお父さん風の2人だった。髪の毛疲れ気味の方は棒ライトの光が私の目に入らないよう注意しながらも手や視線の動きを厳しく警戒し、大きく踏み込まないと手が届かない程度の距離をとっている。優しいお父さん風は背後に付き少し遠いところで私の動きを見ながら携帯で何やら話していた。電話を終え、近づいてきたお父さん風が言うには背格好は情報とぴったりだけど犯人は眼鏡をかけていないから帰っていいとのこと。警察をも黙らせる眼鏡。すごい威力。すごい小宇宙。
初めて容疑者扱いされて思ったのは本気で人を捕まえ様としてる人は殺気みたいの出てる。すんごいプレッシャー。あんなんが探しにくるなら悪い事してもすぐ捕まる。あ、でも眼鏡しておけば大丈夫かも。