どらくえ

小さい頃、親にゲームのソフトを買ってもらうことは稀だった。我が家はご褒美制なる制度が布かれ何か頑張ったこと(例えば書道コンクールで賞を獲るなど)がないと欲しい物が手に入らなかった。おもちゃの値段と自分の努力が見合うのかよく悩んでいたと思う。しかし、ドラゴンクエストⅢは違った。辞書にまで載ったそのソフトは父がやりたいからという理由だけで無償で手に入った。いや、買ってもらった。
極度の怖がりなためHPやMPの枠が青や茶色になるたびにびびっていた。それでも少しずつ進みだし、軌道に乗り始めた矢先だった(といってもダーマの神殿くらいだったと思う)。当時ようやく歩き出した妹がコントローラーと画面の間を歩いたとき、足踏みしていたはずのパーティーは沈黙していた。
あの時から10年以上たち、初めからドラクエ3をする機会を得た。まだ枠の色が変わるとビクビクしながらもエンディングを見ることができた。課題から逃げながら溜めた経験値は無駄じゃなかった。そう思いたい。そんな6月。暑い。