2004-12-14 序章 始まりは何気ない一言だった。 「スイスロールを一本食べてみたい」 言った本人さえ忘れてしまうような些細な事だったはずだ。しかし、バイトから帰り冷蔵庫を開けるとスイスロールが数本収まっていた。その瞬間、脳裏に母の顔が浮かぶ。凛としつつもやさしさに溢れる母が静かに頷く。 「たたかえ」 そう口が動き母の顔は消えた。